東京都が見えないもの〜知的障害者都外施設〜

2007.04.07 Saturday

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    白い・・・

    フォグランプにわずかばかり照らし出される視界は白く
    昼だというのになにも見えない濃霧。
    角館を出て山間を北に目指す国道は、
    すれ違う車もないまま1時間を過ぎようとしていた。

    近づいてくる面会の時間。

     まるでホワイトアウトのよう。
     雪で方向や側壁を見失うことは何度かあった。
     でも、ここまで見えないのは初めてだった。

     かすかに見える左の側溝。
     それだけを頼りに引き返すこともできず進んだ。
     目的地の森吉町についたときには、日も暮れようとしていた。
     ここには、お世話になった知人がいる。


     都内でも古くからある作業所につとめた鯒。
    授産作業に活気があるその施設も、設立当時からの利用者にとって
    長い年月が過ぎていた。
    東京の下町、相撲でおなじみの富岡天満宮。深川不動。
    そんな、ばりばりの江戸育ちの利用者たち。
    しかし、親の高齢化は明らかだった。

     一人、また、一人。
     グループホームがない時代から、見知らぬ北の地への旅立ち。

     東京都が建設してきた都外施設へ。


     天然杉がふんだんに使用されている施設は、広くて暖かい造りだった。
     久しぶりに会った知人は懐かしそうに名前を呼んでくれた。
     作業所の頃の話で盛り上がる。作業の話、当時の利用者の話、
    行事の話、スタッフの話、そして、深川の町の話。。。

     昔、新人だった鯒にいろいろな話をしてくれた知人も年をとっていた。
     生まれ育った町に帰りたいと思いながら生活している。
     そんなに大きな望みではない。

    でも、東京が変わらなければ、戻る場所はない。

     いったい何千人の知的障害者や自閉症者が
    自分の気持ちと無関係に北の地にいるのだろう。

    そして、どのくらいの東京都民が、この濃い霧の向こうのことを知っているのだろう。

     鈴木さん、青島さん、石原さん、
     知的障害者が自閉症者が都内で暮らしてはいけないのでしょうか。

     銀行つくってもいいです。
     暴言も聞き流します。
     ガラパゴスに、仕事で行ってもいいんです。

     だから、、、
    東京都で暮らす皆さん、
    誰か、
    命のあるうちに故郷の下町で暮らせるように、
    東京で声をあげてください。これからの4年は長いです。

    お願いします。。。

    (鯒)
    コメント
    昨日のニュース番組で、障害を持つ人への差別意識についての調査があり、その結果が放送されていました。
    差別的な気持ち?がある、という方が6割弱。割とあるっていう方が3割。つまり、80%強、障害者への差別意識を持っているということを一人一人が感じているという結果でした。
    ナゼ?と思います。
    どんな障害だったとしても、健常といわれている人より持っている分努力をして生きている(努力という言葉は適切ではないかもしれないが、そうしなければ健常の人たちがヘッチャラにできてしまうことが達成できないという意味で)のに、尊敬の気持ちをもって、感じることができないのだろうか。
    ひさしぶりに、怒りがフツフツと湧いてしまいました。
    もっともっと、色々な人が生きやすい世の中を切望。
    • by ウーピー
    • 2007/04/08 11:40 AM
    ウーピーさん
    差別の入口に日常の光景ってあるかなと感じます。自分のテリトリーが明確な今の社会は、孤独死に数ヵ月気付かない社会でもあります。
    地域生活を個人だけのものとしないで、どんな街で生まれそして死にたいのか、皆で街を考えつくっていくことがこの国には弱いですが、そんな取り組みのなかでもっと人は出あってほしいと思うこの頃です。
    • by 鯒です
    • 2007/04/18 9:15 AM
    鯒さん

    私、成年後見制度を知ったとき、自分の骨を誰が拾うのかということではなくて、わが子の骨を誰が拾うのか、までを考えなければならない問題なんだということを知り、愕然としました。
    「街づくり」
    それまで、よく耳にしていた言葉のようで、私の耳を素通りしていた言葉。先回、毎日新聞社の野沢さんの講演を聴き、しみじみ、この言葉について考えるようになりました。
    NPOって何か、わからないって質問を会員たちから聞かれることあります。スタートはわが子なんだけど、わが子オンリーの視点だけでは見えないことなんだってこと、上手く説明できるようになりたいです。
    自分だけ良くても、本当の幸せはない。
    皆が支えあって、分け合って、笑い合って、そんな街づくりを一人一人が感じられる地域社会。
    言葉にするのは簡単だけど、地道な活動が大切だと思っています。
    • by ウーピー
    • 2007/04/19 9:20 PM
    わが子の骨を拾うまでいかなくても、親が子供の世話ができなくなったとき
    どうなるんだろう。
    今、日々姑の介助がある。その前は舅が丸2年寝たきりだった。
    子供がようやく育ったと思ったら介護が始まった。
    神様は障害児を育てても、介護は免除してくれなかった。
    自分たち夫婦は更年期へ突入、いずれは、舅、姑のようになる。

    めまぐるしく変わる制度の手続き、そして日常生活の本人への配慮
    仕事場やジョブコーチとの話し合い、もしかして精神的に不安定になっても
    幼児期からの主治医から成人期の主治医への引継ぎ体制はないに等しい。
    また1からの説明がまっているだろう。発達障害をわかる精神科医はどれくらい
    いるのだろう。
    どの制度が中心になって、どの立場の人が、今親が担っている生活全般にわたる総ての
    後ろ盾をしてくれるのだろう。
    成年後見制度の主軸は財産管理だけれども、それ以上に日常生活の後見が
    重要である。
    皆で、考えて活動していかなければ、これからも
    • by 御大
    • 2007/04/20 12:50 PM
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